コラム:アニメはなぜ面白いのか

 私は何故に大人になってもアニメを見続けているのだろうかと最近思う。逆に言えば、周りの大人は何でアニメを見ていないのだろう? ということを考えてみたわけです。
 結論から言えば、私がアニメを大人になっても見続けていたのは子供のときにハマってそのまま今に続いているということなんだと思う。

「フィクション」として視聴候補に上がる作品として、映画・TVドラマ・アニメという三つのものが浮かんだ。だがこの中で「子供向け」のものはアニメだけだ。映画もドラマも「子供でも楽しめる」かもしれないが子供向けにつくられたものではない。そもそも主人公が子供とか青少年ではない。だから、私が中学・高校生くらいのときは回りの同級生はトレンディドラマに熱中していたが、私からすればあんな20代前半の男女を主人公としたラブストーリーになんで中学生がハマるのか、今考えてみても不思議だ。少なくとも私は共感できなかったし、理解できないのはむしろ分からないでもない。
 そんなことを考えてみると、中学・高校生がアニメにハマるのはむしろ当然じゃないかと思う。その年齢向けに製作された娯楽のフィクションは、アニメくらいじゃないのか。少なくともアニメを面白い作品としてみることは当然だと思う。

 私の場合は大学に入っても、成人してもアニメを見続けている。この理由として、ひとつには最近のアニメが「面白い」、上質だということが挙げられるけど、自分でうすうす思うのはアニメが好きな私というのはよく言えば「純粋」悪く言えば「子供っぽい」感性の持ち主だということ。
 私の場合、ラブストーリーを見るのでも現実に役者が実写で演技をしているのを見るのはリアリティがありすぎて少し引いてしまう。また20代前半の登場人物でラブストーリーをすると大体話が重くなりすぎるので、だったらせいぜい高校生くらいの学園を中心とした話を見ているほうが素直に共感できるのだ。つまり、ラブストーリーでも私は子供っぽい話のほうに共感できるということ。
 その他、ロボットものの戦闘シーンはハリウッド映画に匹敵するアクションのレベルだし、またたとえば「ぱにぽにだっしゅ!」のようなギャグ作品はゴールデンタイムのバラエティ番組よりもはるかに面白い・笑えると私は思っている。

 そんなようなことを考えるので、私はアニメが好きなんじゃないかと思っている。ただ、私だって中心としてみているのはアニメだが、映画やドラマを全く見ないわけではない。最近はほとんど見ていないが、高校生くらいまではちらちら映画やドラマを見ていて、そして面白いと思ったことだってあった。
 最近思うけど、アニメを特別なものだと捕らえるのではなく、映画やTVドラマと同じ「フィクション」の一環である・映画やドラマとアニメは同じカテゴリーのものなのだと捉えてよいのではないかと思う。だからアニメの面白さが分かる人は、面白い映画やドラマだって理解できる素養があるんじゃないかと思う。なんというか、アニメ・映画・ドラマには「互換性」があるんじゃないかと最近思えてならない。むしろ別のものだと分けるほうが不自然ではないのか。

 そこから考えてみると、最近私が思っているのは、普通の大人はアニメに限らず映画やドラマを見ているのだろうか? ということ。大人になってもアニメを見ているという人が評価されないということを私は実感しているのだが(尊敬されない)、それなら普通の大人は映画やドラマを「見ている」といえる程度には見ているのだろうか? ということを疑問に思う。「アニメより映画を見ろ」とか、「ドラマのほうがアニメよりよほど面白い」というのであればまだ話し合う余地があると思うが、映画もドラマも見ていない人に「なんでアニメを見ているの?」といわれても、そもそもフィクションを理解してくださいと返答したい気分だ。まあ、そもそも映画・ドラマ・アニメ・小説のような「フィクション」に触れることは人間にとって必要なのだろうか? ということも思うのだけど、フィクションが好きな人間としてその中で「アニメーション」を選ぶことは不自然ではないと思う。逆に言えば、映画好きに「なんでアニメじゃなくて映画なの?」と聞く事だって出来る。ドラマだって、本質的にはアニメと変わらないのではないのか。
 それとも、実写ではない「絵」であることの魅力・メリットということは何かあるのだろうか。私の場合は抽象化された「絵」の方が想像の余地があって面白いのでは、ということも思います。